2026.04.27
人材教育
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敬語は相手への敬意を示すための基本的なビジネスマナーのひとつであり、社会人として働くうえで重要なスキルです。しかし実際には「バイト敬語」や「二重敬語」といった、不適切な言葉遣いが現場で見受けられるケースも少なくありません。敬語の誤りは個人の印象にとどまらず、会社全体の信頼やブランドイメージにも影響する可能性もあるため、注意が必要です。
本記事では、ビジネスマナーとして押さえるべき敬語の基本や間違いやすい敬語表現を解説します。敬語に不安を感じている経験の浅い従業員の方や、適切な敬語を指導したい教育担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ビジネスマナーとして押さえるべき敬語の種類
ビジネスマナーとして押さえるべき敬語には、「尊敬語・謙譲語・丁寧語」の3種類があります。
まずは日常業務で頻出する表現を一覧にまとめました。OJTの指導時の確認や従業員のセルフチェック用に活用してみましょう。
| 基準の動詞 | 尊敬語(相手の動作) | 謙譲語(自分の動作) | 丁寧語(基本) |
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる | 言います |
| 行く | いらっしゃる・おいでになる | 参る・伺う | 行きます |
| 来る | いらっしゃる・おいでになる | 参る・伺う | 来ます |
| 見る | ご覧になる | 拝見する | 見ます |
| 聞く | お聞きになる | 拝聴する | 聞きます |
| 受け取る | お受け取りになる | 頂戴する・拝受する | 受け取ります |
| 思う | お思いになる | 存じる | 思います |
| する | なさる・される | いたす | します |
それぞれ、相手との関係や、誰の動作を表すのかによって使い分けることが重要です。以下で、3種類の違いを詳しく解説します。
尊敬語
尊敬語とは、相手の動作や状態を高めて表現することで、相手への敬意を示す言葉です。主に上司や取引先といった、自分よりも目上の人の行動や言動に対して使用します。
以下のように動作や状態に「お」や「ご」を付けたり、特別な表現を使ったりして敬意を示します。
| 基本表現 | 尊敬語 | 文例 |
| 言う | おっしゃる | 部長は来週の会議に出席するとおっしゃいました。 |
| 行く | いらっしゃる・おいでになる | 部長は午後、取引先へいらっしゃいます。 |
| 来る | いらっしゃる・おいでになる | お客様はまもなく当社へおいでになります。 |
| 見る | ご覧になる | お客様は先ほど資料をご覧になりました。 |
| 聞く | お聞きになる | 部長はその件について担当者にお聞きになりました。 |
| する | なさる・される | 最終確認は部長がなさいます。 |
| 受け取る | お受け取りになる | お客様は受付で資料をお受け取りになりました。 |
| 読む | お読みになる | 部長は先ほど案内文をお読みになりました。 |
謙譲語
謙譲語は、自分や自分側の人間(身内)の動作をへりくだって表現することで、相対的に相手を高める言葉です。目上の人との会話で、主語が自分や身内の場合に使います。
以下のように、自分や身内の動作に対して、「申す」や「参る」のように別の言葉に置き換えて使うのが基本です。
| 基本表現 | 謙譲語 | 文例 |
| 言う | 申す・申し上げる | 私から概要を申し上げます。 |
| 行く | 参る・伺う | 明日、私が御社へ伺います。 |
| 来る | 参る・伺う | 担当者がのちほどこちらへ参ります。 |
| 見る | 拝見する | 先ほどお送りいただいた資料を拝見しました。 |
| 聞く | 拝聴する | 先日のご講演を拝聴しました。 |
| する | いたす | この件は私が対応いたします。 |
| 受け取る | 頂戴する・拝受する | お名刺を一枚頂戴してもよろしいでしょうか。 |
| 読む | 拝読する | お送りいただいたご提案書を拝読しました。 |
自分が資料を受け取るときは「資料を拝受いたしました」と言うのが適切です。相手を主語にして「お客様が参りました」と使うのは誤りです。
丁寧語
丁寧語は言葉の末尾に「です」「ます」「ございます」を付けたり、名詞に「お」「ご」を付けたりすることで、丁寧に述べる言葉です。相手との立場に関わらず、話の内容を上品かつ丁寧に伝えるために使用されます。
| 基本表現 | 丁寧語 | 文例 |
| 言う | 言います | その件は会議で言います。 |
| 行く | 行きます | 明日、担当者が会場へ行きます。 |
| 来る | 来ます | 担当者がのちほどこちらへ来ます。 |
| 見る | 見ます | こちらで資料を見ます。 |
| 聞く | 聞きます | 詳細は担当者に聞きます。 |
| する | します | この件は私が対応します。 |
| お/ご~ | お水・お料理・ご連絡・ご住所 | ご連絡ありがとうございます。 |
ビジネスマナーで注意すべき敬語の間違い
敬語を使う意識があっても、誤った使い方をすると、相手に失礼な印象を与えることがあります。
ここでは、ビジネスマナーで注意すべき敬語の間違いを解説します。
二重敬語
二重敬語とは、同じ言葉に対して敬語表現を重ねて使ってしまうことです。丁寧に伝えようとするあまり発生しやすく、ビジネスの場では不自然に聞こえるので注意が必要です。
二重敬語の主なパターンとして、「お(ご)」+「~られる」と謙譲語+「いただきます」があります。具体的には、以下のような表現が二重敬語に該当します。
| 誤った表現 | 正しい表現 |
| おっしゃられる | おっしゃる |
| お帰りになられる | お帰りになる |
| ご覧になられる | ご覧になる |
| 伺わせていただきます | 伺います |
| 頂戴させていただきます | 頂戴します |
バイト敬語
バイト敬語とは、飲食店やコンビニでよく耳にする、文法的に誤った接客用語のことです。
以下のようなバイト敬語は、使用しないように注意しましょう。
| 誤った表現 | 正しい表現 | |
| ~の方(ほう) | お見積書の方をお持ちいたしました | お見積書をお持ちいたしました |
| ~になります | お見積書になります | お見積書でございます |
| ~からお預かりします | 一万円からお預かりします | 一万円、お預かりします |
| よろしかったでしょうか | こちらでよろしかったでしょうか | こちらでよろしいでしょうか |
目上の人に対する不適切な敬語の使用
言葉自体は丁寧でも、使う相手を間違えると失礼にあたる言葉が存在します。例えば、以下のような表現を目上の人に対して使うと失礼にあたるので、適切な表現に直しましょう。
| 誤った表現 | 正しい表現 |
| ご苦労さまです | お疲れさまです |
| 感心しました | 感銘を受けました |
| 参考になりました | 勉強になりました |
| 了解しました | 承知しました |
尊敬語と謙譲語の使い分け
尊敬語と謙譲語を逆に使ってしまうケースは、多くあります。どちらも敬意を示す表現ですが、動作の主語が異なるため、使い方を誤ると失礼になります。
例えば、顧客に対して「担当者に伺ってください」と伝えるのは誤りです。「伺う」は謙譲語であり、目上の人の動作に使う表現ではありません。正しくは「担当者にお聞きください」と表現します。
尊敬語と謙譲語の使い分けで特に混乱しやすいのが、社外の相手に対して社内の人物のことを話すケースです。この場合は、上司であっても身内として扱うため、謙譲語を使う必要があります。例えば、上司が取引先の資料を確認したことを伝えたい場合は、「山田部長(上司)がご覧になりました」ではなく「山田が拝見しました」と表現するのが適切です。
ビジネスで間違いやすい敬語チェックリスト
日常的に使っている言葉でも、ビジネスシーンでは不適切な表現が多くあります。以下のビジネスで間違いやすい敬語チェックリストは、従業員のセルフチェックはもちろん、OJT指導時の確認にも活用できます。
| 間違った表現 | 正しい表現 |
| 了解しました | かしこまりました・承知いたしました |
| ご苦労さまです | お疲れさまです |
| なるほどです | おっしゃるとおりです |
| よろしかったでしょうか | よろしいでしょうか |
| 〇〇になります | 〇〇でございます |
| 参考になりました | 勉強になりました |
| おっしゃられる | おっしゃる |
| 拝見させていただきます | 拝見します |
| お名前を頂戴できますか | お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか |
ビジネスシーンでの敬語力を高めるクッション言葉
クッション言葉とは、本題の前に添えることで、言葉の印象を柔らかくする表現です。敬語と組み合わせることで、より丁寧で円滑なコミュニケーションが実現しやすくなります。
代表的なクッション言葉とその使い方は、以下のとおりです。
| 場面 | クッション言葉の例 |
| 依頼するとき |
|
| 断るとき |
|
| 意見を述べるとき |
|
【シーン別】ビジネスでよく使う敬語の例文
敬語を適切に使うには、ビジネスシーンごとでよく使う敬語の例文を押さえておくことをお勧めします。
ここからは、ビジネスでよく使う敬語の例文をシーン別に見ていきましょう。
名刺交換をするとき
名刺交換は、ビジネスの第一印象を左右する重要なシーンです。名刺交換でよく使う敬語の例文は、以下のとおりです。
| 場面 | 例文 |
| 名刺を渡す | 〇〇株式会社の△△と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 |
| 相手の名刺を受け取る | 頂戴します。〇〇様ですね、どうぞよろしくお願いいたします。 |
| 名前の読み方を確認する | 恐れ入りますが、お名前はなんとお読みすればよろしいでしょうか |
電話対応をするとき
電話対応は声だけで印象が決まるので、適切な敬語でコミュニケーションを取ることが大切です。電話対応でよく使う敬語は、以下のとおりです。
| 場面 | 例文 |
| 電話を受ける | お電話ありがとうございます。〇〇株式会社の△△でございます。 |
| 担当者に取り次ぐ | 〇〇でございますね。ただいま、おつなぎいたしますので、少々お待ちください。 |
| 担当者が不在であることを伝える |
|
| 折り返しを提案する | 戻り次第〇〇から折り返しお電話をさせていただいてもよろしいでしょうか。 |
来客対応をするとき
来客対応は、会社の印象を直接左右する場面といえます。受付から案内まで、一連の流れで使う敬語を知っておくことが大切です。
| 場面 | 例文 |
| 来客を迎える | 〇〇様ですね、お待ちしておりました。本日はお越しいただきありがとうございます。 |
| 席へ案内する | 〇〇(案内先)へご案内します。 |
| 見送りをする | 本日はありがとうございました。お気をつけてお帰りくださいませ。 |
依頼・お願いをするとき
上司や顧客に依頼・お願いをするときは、クッション言葉と敬語を組み合わせることが大切です。場面に応じた敬語の例文は、以下のとおりです。
| 場面 | 例文 |
| 資料の送付を依頼する | お手数をおかけしますが、資料をご送付いただけないでしょうか。 |
| 確認をお願いする | お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。 |
| 期日を伝える | 差し支えなければ、〇日までにご回答いただけますと幸いです。 |
断り・お詫びをするとき
断りやお詫びをする場面では、相手の気持ちを配慮しながら、明確に意思を伝える必要があります。以下のように、丁寧かつ明確に伝えるようにしましょう。
| 場面 | 例文 |
| 依頼を断る | 誠に申し訳ございませんが、今回は見送らせていただきます。 |
| ミスをお詫びする | 〇〇様に多大なるご迷惑をおかけしてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。 |
| 再発防止を伝える | 〇〇の件につきまして、再発防止に努めてまいります。 |
上司へ報告・相談をするとき
上司への報告・相談は、業務をスムーズに進めるための重要なコミュニケーションです。敬語を適切に使いながら、要点を簡潔に伝えることを意識しましょう。
| 場面 | 例文 |
| 報告をする | 〇〇の件につきまして、ご報告させていただきます。 |
| 相談をする | お忙しいところ恐縮ですが、ご相談させていただきたいことがございます。お時間よろしいでしょうか。 |
| 助言をもらう | 〇〇の件について、ご助言いただけないでしょうか。 |
属人的な指導を脱却する「敬語教育」の仕組み化
従業員一人ひとりの敬語力を底上げするには、敬語の習得を個人任せにせず、組織として仕組み化することが大切です。
ここでは、敬語教育を仕組み化する具体的な方法を紹介します。
テンプレートとマニュアルの共有
敬語教育を仕組み化するには、よく使う表現をテンプレート化し、全従業員がすぐに確認できる形で共有することが大切です。
電話対応・来客対応といった場面ごとの敬語テンプレートをまとめ、研修で配布したり社内ポータルに掲載したりして、常時確認できる環境を整えるのが効果的です。
個人の経験や感覚に頼らず、組織としての言葉遣いを統一することで、教育品質のばらつきをなくせるでしょう。
ロールプレイングによる実践
敬語を適切に使用するには、知識として知っているだけでは不十分です。実際の場面で自然に使えるようになるには、実践に近い形でロールプレイングをすることが大切です。
ロールプレイングをするときは、電話対応・来客対応・上司への報告といった業務でよくある場面を想定した研修に取り入れましょう。練習後にフィードバックを行うことで、自身では気付きにくい誤った表現や不自然な言い回しを修正しやすくなります。
eラーニングによる反復学習
敬語教育には反復学習が効果的ですが、集合研修を何度も行うのはコストがかかります。eラーニングであれば、時間や場所を選ばずにスマートフォン・パソコンで受講できるので、従業員のペースで繰り返し学習することができます。ロールプレイングや現場での実践と組み合わせれば、知識と実践力の両方をバランスよく高められるでしょう。
まとめ
適切な敬語の使用は、個人の印象にとどまらず、会社全体の信頼やブランドイメージを左右する要素となります。適切な敬語を組織全体に定着させるには、個人の自主学習に任せるだけでなく、テンプレートの整備やロールプレイングといった、教育を仕組み化することが欠かせません。
なかでもeラーニングは、時間や場所を問わず繰り返し学習できるため、忙しい現場でも無理なく導入できます。「Cloud Campus コンテンツパック100」では、ビジネスマナーに関する知識を網羅的に学べるコンテンツを配信しています。「ビジネスマナーを身につけよう」というコースでは、第一印象の重要性や、電話対応・名刺交換・訪問対応といった実務に直結するマナーを講師の実演を交えてわかりやすく学べます。敬語をはじめとするビジネスマナーの標準化を組織として推進したい教育研修担当者・マネージャーの方は、ぜひご活用ください。
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