2026.09.04
人材教育
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情報セキュリティ意識とは、従業員一人ひとりが情報を守ることの重要性を理解し、日々の業務のなかでリスクに注意を払いながら行動しようとする姿勢のことです。
たとえセキュリティ対策のためのシステムやルールを整備していても、実際に情報を取り扱う従業員がリスクを意識せずに行動すれば、情報漏えい等のトラブルにつながる恐れがあります。そのため、情報セキュリティ意識を向上させるには、従業員がリスクを自分ごととして捉えられるような教育・啓発の取り組みが重要です。
本記事では、情報セキュリティ意識の向上が重要視される背景やリスク、具体的な対策方法、そして高めた意識を行動として定着させるポイントを解説します。従業員へのセキュリティ教育を検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
企業にとって重要な従業員の「情報セキュリティ意識」とは
そもそも「情報セキュリティ意識」とは、従業員が情報セキュリティの重要性を理解し、日常業務のなかでリスクに気付いて適切に行動しようとする意識を指します。
大切なのは、ルールを「知っている」状態と、実際に「実践できる」状態は別物だという点です。例えば、“不審なメールを開くべきではない”と知っている人でも、業務連絡を装った巧妙なメールをいざ前にしたとき、本当に立ち止まって確認できるとは限りません。だからこそ、単に知識を身につけさせるだけでなく、リスクへの意識を高め、日々の行動につなげ、その行動を定着させていく段階的な取り組みが求められます。
企業のセキュリティ対策は、システム等の「技術的対策」と、従業員の意識・行動に関わる「人的対策」の両輪で成り立つものです。このうち情報セキュリティ意識の向上は、人的対策の中核に位置付けられます。
そのため、正社員に限らず、契約社員・派遣社員・アルバイト等、業務で情報に触れるすべての人を対象に実施することが不可欠です。
また、サイバー攻撃の手口は年々巧妙化しており、少し前までの常識や対策がそのまま通用するとは限らなくなってきています。だからこそ、情報セキュリティ意識は一度身につけて終わりではなく、最新の情報へアップデートしていく姿勢が大切です。
情報セキュリティ意識の向上が重要視される背景
今、企業で情報セキュリティ意識の向上が重要視される背景には、「人」を狙うサイバー攻撃の巧妙化と、後を絶たない人為的ミスによる情報漏えいがあります。実際の調査データをもとに状況を見ていきましょう。
「人」を狙うサイバー攻撃の巧妙化
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2026年1月に公開した「情報セキュリティ10大脅威 2026 [組織]」のランキングでは、「ランサム攻撃による被害」(1位)が11年連続で選出されました。くわえて、「機密情報を狙った標的型攻撃」(5位)や「ビジネスメール詐欺」(10位)のように、従業員を攻撃の入口とする脅威も継続してランクインしています。
こうした攻撃で使われるのが、取引先や社内からの業務連絡を装ったメールや、正規のサービスに酷似させた偽サイト等、人の心理的な隙を突く「ソーシャルエンジニアリング」と呼ばれる手口です。セキュリティソフトやアクセス制限等の技術的対策を適切に講じていても、従業員が添付ファイルを開いたり、偽サイトで認証情報を入力したりするひとつの操作が、ランサムウェアをはじめとする攻撃者の侵入の起点になり得ます。つまり、従業員一人ひとりが、不審な兆候に気付ける状態をつくることが重要なのです。
出典:情報セキュリティ10大脅威 2026|独立行政法人情報処理推進機構
続く「人為的ミス」による情報漏えい
情報漏えいの原因は、外部からの攻撃だけではありません。従業員による「人為的ミス」や内部トラブルも大きな要因となっています。
実際、2026年1月に公表された東京商工リサーチの調査によると、2025年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は180件で、このうち「誤表示・誤送信」が37件(構成比20.5%)、「紛失・誤廃棄」が18件(同10.0%)と、合わせて約3割が人為的なミスに起因しているものでした。
また、前述したIPA「情報セキュリティ10大脅威 2026 [組織]」でも、「内部不正による情報漏えい等」が7位に選出されています。
どれだけ技術的対策を強化しても、最終的に情報を扱うのは「人」です。人為的ミスや内部不正を防ぐためにも、従業員一人ひとりが正しい知識を身に着け、意識を高めていくことが欠かせないといえるでしょう。
出典:上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 2番目の180件発生、漏えい人数は約2倍増の3,063万人分|東京商工リサーチ TSRデータインサイト
従業員のセキュリティ意識が低いことによるリスク
従業員のセキュリティ意識が低い状態のまま放置すると、企業は大きな損失を被る恐れがあります。主なリスクは以下の4つです。
・情報漏えいとそれに伴う金銭的被害・損害賠償
・生産やサービス停止による業務中断の損害
・顧客や社会からの信用失墜
・取引先や委託先へ被害が広がる「踏み台」化
まず挙げられるのは、情報漏えいやそれにともなう金銭的な被害です。ランサムウェア攻撃で被害を受けたシステムやデータを人質に身代金を要求される恐れがあるほか、企業が取り扱っている個人情報を漏えいした場合、民事上の責任を問われ、損害賠償責任を負う可能性があります。
さらに、事業への影響も見逃せません。前述した東京商工リサーチの調査では、ランサムウェアをはじめとする不正アクセスが、情報漏えいにとどまらず生産やサービスの停止まで引き起こしたと指摘されており、業務停止による損失にも直結しかねないことが分かっています。
重大な事故を起こしてしまうことで顧客や社会からの信用失墜を招き、補償問題や顧客離れにつながる恐れもあるでしょう。
くわえて、取引先へ被害が波及するリスクにも注意が必要です。前述の「情報セキュリティ10大脅威 2026 [組織]」では「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が2位に選出されており、対策が手薄な企業が踏み台となって取引先にまで被害が広がる恐れがあります。
こうしたリスクを踏まえると、従業員のセキュリティ意識向上は、経営課題のひとつとして優先して取り組むべきテーマだといえるでしょう。
従業員のセキュリティ意識を向上させる4つの対策方法
では、実際に従業員のセキュリティ意識を向上させ、日々の行動へつなげていくためには、どのような対策を行うのがよいのでしょうか。
ここからは、今すぐ始められる具体的な対策方法を4つ紹介します。
ポリシー・ルールを明確化して周知する
まずは、情報の取り扱いについて「何をしてよいか・してはいけないか」の判断基準を明文化し、全従業員に周知することが大切です。
具体的には、パスワードの管理方法、メール送信時の宛先確認、端末の持ち出し、SNSの利用等、日常業務に即したルールを定めておきましょう。判断基準が明確になれば、従業員は迷わず行動しやすくなります。
その際、「なぜ必要なのか」という理由もセットで伝えることがポイントです。背景のリスクまで理解できれば納得感が高まり、ルールの形骸化を防ぎやすくなります。
定期的なセキュリティ教育・研修を実施する
教育は入社時の一度で終わらせず、定期的・反復的に学ぶ機会を設けることが重要です。実施形式には集合研修・オンライン研修・eラーニング等があり、なかでもeラーニングは時間や場所を問わず受講できるため、全国の拠点や多様な雇用形態の従業員にもムラなく教育を届けやすいという利点があります。
教育内容は、パスワード管理やメールの誤送信対策、不審なメールの見分け方、SNS利用の注意点等、日常業務に関わるテーマにすると従業員が自分事として学びやすくなるでしょう。
標的型攻撃メール訓練等の疑似体験を取り入れる
知識として学んでいても、実際に巧妙なメールを受け取ったときに見抜けるとは限りません。そこで取り入れたいのが、標的型攻撃メール訓練のような「疑似体験」です。
標的型攻撃メール訓練とは、攻撃メールを模した疑似メールを従業員に配信し、開封状況の確認を経て振り返りやフォロー教育につなげる取り組みです。実際に「開いてしまった」という体験が、セキュリティリスクを自分事として捉え直すきっかけになります。
なお、疑似メールを開封した従業員を責めるのは逆効果になりかねません。誰でも引っかかり得ることを前提に、気付きと学びにつなげる運用を心がけましょう。
ミスや不審な事象を報告しやすい環境をつくる
被害を最小限に抑えるには早期発見・早期対応が重要であり、従業員がミスや不審な事象に気付いたとき、ためらわず報告できる環境づくりが欠かせません。
「報告すると叱責される」という空気があると、従業員は報告をためらい、発覚の遅れから被害が拡大する恐れがあります。大切なのは、ミスそのものを責めるのではなく、報告したこと自体を評価する文化を育てることです。管理職が率先して「報告してくれてありがとう」という姿勢を示せば、従業員も安心して声を上げやすくなるでしょう。
併せて、報告先や報告手順を明確にし、対応マニュアルとして整備しておきましょう。
従業員にセキュリティ意識を定着させるためのポイント
ここまでにご紹介した取り組みで従業員のセキュリティ意識が高まっても、それが日々の行動として定着しなければ、取り組みの効果は一時的なものになりかねません。
高めた意識を日々の行動につなげ、組織に定着させるためには、次の3つのポイントを押さえて対策を実施することが大切です。
一度きりで終わらせず継続的に取り組む
攻撃の手口は変化し続けるため、教育も一度きりではなく、継続して実施することが大切です。
実際に、前述の「情報セキュリティ10大脅威 2026 [組織]」では「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出されており、注意すべき脅威は毎年変化しています。そのため、教育内容が古いままでは新しい手口に対応しきれない恐れがあります。
併せて、教材を最新の内容に保つことも重要です。自社で教材を作り続けるのは負担が大きいため、脅威動向を踏まえて内容が更新されるeラーニングサービスを活用すれば、担当者の負担を抑えながら教育の鮮度を保ちやすくなるでしょう。
経営層・管理職を含む全従業員を対象にする
セキュリティ教育は、現場の従業員だけでなく、経営層や管理職も対象に含める必要があります。管理職自身がセキュリティの重要性を理解していないと、現場の取り組みが後回しにされたり、形骸化しやすくなったりします。
また、雇用形態を問わず、業務で情報に触れる全員に同水準の教育を届ける「ムラのなさ」も重要です。教育が行き届いていない部門や立場がひとつでもあると、そこが組織全体の脆弱性となり、サイバー攻撃の入口になるリスクが高まります。
効果測定と改善を繰り返す
教育や訓練は、実施して終わりにせず、効果測定とセットで運用しましょう。
例えば、受講率や理解度テストの結果、訓練メールの開封状況、ヒヤリハットの報告件数等を定点的に確認すれば、取り組みの成果や課題を数値として可視化できます。
測定結果をもとに教育内容や実施頻度を見直すサイクルを回すことで、「研修をやって終わり」という形骸化を防ぎ、従業員の行動変容につなげやすくなります。
まとめ
従業員一人ひとりが情報セキュリティへの理解を深め、日々の業務で適切に行動できるようになることは、情報漏えいをはじめとするセキュリティ事故のリスク低減につながります。そのためには、ポリシー・ルールの明確化や定期的な教育、疑似体験の活用、報告しやすい環境づくりといった対策を継続的に積み重ね、知識の習得から意識の向上、そして行動の定着へと段階的につなげていくことが大切です。
こうした取り組みを無理なく続けるには、現場の負担を抑えつつ、継続して学べる環境としてeラーニングの導入を検討するのがお勧めです。「Cloud Campus コンテンツパック100」では、セキュリティ教育に関するコンテンツを含む、100教材以上のeラーニングを配信しています。
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