2024.04.01
eラーニング
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eラーニングを効果的に活用するには、教材を配信するだけでなく、LMS(学習管理システム)で受講者の学習進捗や成績を一元管理し、受講状況や学習成果を継続的に把握することが重要です。
LMSを活用すれば、受講状況を可視化しながら、教育担当者の運用負担を抑えて効率的な人材育成を進められます。本記事では、LMSの主な機能や導入するメリット・デメリット、活用シーンを解説します。
導入時に確認したいポイントも紹介するので、受講率の向上や学習の定着に課題を感じている研修担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
LMS(学習管理システム)とは
LMSとは、パソコンやスマートフォン等を用いたeラーニング(オンライン学習)を実施・管理するためのシステムです。「Learning Management System」の略称で「学習管理システム」と呼ばれることもあります。
教育担当者が受講者の学習進捗やテスト結果、受講履歴を一元管理できる機能を備えています。LMSを活用すれば、教材の配信から理解度の確認までをシステム上で一括して管理できます。
LMSとeラーニングの違い
eラーニングは、デジタル端末とインターネットを活用した学習形態のことです。一方、LMSはeラーニング教材の配信や受講者の進捗状況、テスト結果等のデータを一元管理するシステムを指します。
CD-ROMやDVDを用いて実施していた従来のeラーニングでは、管理者が受講状況や理解度を把握しにくいという課題がありました。LMSはeラーニングの進捗把握やテスト採点をスムーズに行えるので、教育にかかる運用負担を軽減できます。
LMSが企業や教育機関で活用される背景
企業や教育機関においてLMSが活用される背景には、受講者の学習進捗や理解度を適切に把握・管理する必要があることが挙げられます。組織の多拠点化やリモートワークの普及にともない、従来の研修方法では「誰がどこまで学習し、どの程度理解できているか」を把握しにくいケースがあります。
そのような課題感から、研修履歴やテスト成績を一元管理し、多拠点であっても学習状況を可視化できるLMSの仕組みが求められるようになりました。
受講履歴やテスト結果をもとに未受講者のフォローや弱点の補強ができるため、研修を実施するだけで終わらせず、組織全体へ知識を定着させるツールとしてLMSが活用されています。
LMSの主な機能
LMSには、受講者が日常的に利用する機能と、教育担当者や講師が管理・運用するための機能が搭載されています。ここでは、LMSの主な機能を受講者向けと管理者向けに分けて解説します。
受講者向けの機能
受講者向けの機能は、パソコンやスマートフォンから直感的に学習を進められるよう設計されています。主な機能は以下のとおりです。
| 機能 | 概要 |
| 教材・コースの受講 | 配属やスキルに応じた講座・教材(動画やスライド)の検索・受講ができる |
| テストの受験・課題提出 | 学習成果を測る理解度テストの受験や、レポート課題のアップロードができる |
| 学習進捗・成績の確認 | 自身の受講ステータスやテスト採点結果・総合評価を確認できる |
| 通知・リマインドの確認 | 受講期限や未提出課題のリマインド通知、管理者からのお知らせを確認できる |
LMSの機能により、受講者は「何をいつまでに学習すればよいか」を把握しやすく、自身のペースで学習を進められます。
管理者・講師向けの機能
管理者・講師向けの機能には、受講者の管理や教材の用意、学習状況の分析を効率化するためのものがあります。主な機能は以下のとおりです。
| 機能 | 概要 |
| 受講者・ユーザー管理 | 受講者のID登録やグループ設定、アクセス権限の付与ができる |
| 教材の管理・配信 | 受講対象者に合わせた教材の割り当て・配信ができる |
| 受講状況・進捗管理 | 各受講者の学習進捗率や未受講者の把握ができる |
| テスト・課題の作成・評価 | 理解度テストやレポート課題の作成・配信、提出物の採点やフィードバックができる |
| 学習データの集計・分析 | 受講履歴やテスト結果を分析し、研修効果の検証や課題抽出に役立てられる |
| 教材・コンテンツ作成 | 動画やスライド、テキスト等の学習コンテンツを作成できる |
管理機能が充実しているLMSを活用すれば、学習進捗やテスト結果の集計・確認にかかる手間を抑えられ、受講者の個別サポートや研修の改善に時間を充てられるようになります。
LMSを導入するメリット
LMSを導入するメリットは、以下のとおりです。
・時間や場所を問わず学習しやすくなる
・受講者の学習状況を一元管理できる
・教育・研修管理の工数を削減できる
・教育内容や品質を均一化しやすい
・学習データを教育・人材育成に活用できる
それぞれ詳しく解説します。
時間や場所を問わず学習しやすくなる
パソコンやスマートフォンから受講できる環境を整えることで、集合研修のように全員の日程や場所を調整する負担を抑えられます。また、受講者が必要に応じて教材を繰り返し確認できるため、継続的な学習や知識の定着を支援しやすくなります。
受講者の学習状況を一元管理できる
受講者の学習進捗やテスト結果を一元管理できるため、状況に応じたフォローを行いやすくなります。未受講者の抽出やリマインド通知に対応したシステムであれば受講を促し、理解度が低い受講者には補講教材の案内や個別のアドバイスを行う等、対応の効率化やフォロー漏れの防止につなげられます。
教育・研修管理の工数を削減できる
受講者の登録や教材の割り当て、テストの採点、研修後のアンケート集計等を一元的に管理できる機能を備えたシステムもあります。進捗管理やデータ集計等の事務作業を効率化できるため、研修担当者はコンテンツの企画や受講者への個別フォロー等、より重要な業務に時間を充てやすくなります。
教育内容や品質を均一化しやすい
拠点・部署・役職といった属性に応じて教材を一括配信できるため、組織内で一定の基準に沿った教育を実施しやすくなります。指導者の教え方や拠点ごとの運用によるばらつきを抑えられるため、全国に店舗や営業所を展開する企業でも、教育品質の平準化につなげられます。
学習データを教育・人材育成に活用できる
受講履歴や理解度テストの結果がシステム内に定量データとして蓄積されるため、組織や従業員個人の傾向を可視化できます。
従業員が得意とする領域や弱点となっている分野を把握し、個々の状況に応じた指導や育成方針の検討に活かせます。蓄積された受講データや評価結果を分析すれば、次回の研修内容や継続的な人材育成計画の改善にも役立ちます。
LMSを導入するデメリット・注意点
LMSを導入する際は、以下のデメリットに注意が必要です。
・導入・運用にコストや工数がかかる
・教材を準備・更新する必要がある
・受講者のモチベーション維持が必要になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
導入・運用にコストや工数がかかる
LMSを利用する際は、初期費用だけでなく受講者数や機能に応じた月額利用料が継続して発生します。受講者数が多い場合や高機能なシステムを選ぶと、多くのコストがかかる可能性があるので注意が必要です。
また、システム選定や初期設定、導入後の問い合わせ対応といった担当者の手間がかかります。運用体制が整っていない状態で導入すると、管理者に大きな負担を与えることになるので注意しましょう。
教材を準備・更新する必要がある
自社独自の業務手順や社内ルールを学ばせる場合、動画やスライド等のコンテンツを作成しなければなりません。教材の内製には企画や撮影、編集の工数がかかるため、作成計画がないまま導入を進めると、教材が用意できず運用が停滞する原因になります。
また、法改正や業務手順の変更に合わせて定期的に教材を改訂する必要があります。情報の更新を怠って古い教材のまま放置してしまうと、受講者が誤った業務知識を身に付け、業務上のトラブルや教育品質の低下につながるリスクがあるので注意が必要です。
受講者のモチベーション維持が必要になる
LMSを導入するだけで受講率や研修効果が高まるわけではありません。受講者の自主性に委ねたままでは、受講が後回しにされて未受講者が増えたり、学習が停滞したりするリスクがあります。
受講完了率を高めるには、明確な期日設定やシステムからのリマインド通知、未受講者への個別フォロー等、継続して学習を進めてもらうための運用上の工夫が必要です。
企業におけるLMSの主な活用シーン
LMSは社内教育だけでなく、幅広いシーンで活用されています。
企業における主な活用シーンは、以下のとおりです。
・企業の社員研修・人材育成
・コンプライアンス・法定研修の履修管理
・代理店・パートナー等の社外向け教育
・資格取得・専門教育等のオンライン講座
それぞれ詳しく解説します。
企業の社員研修・人材育成
新入社員研修や階層別研修、職種別研修等、対象者のレベルや役割に応じたカリキュラムを配信できます。事前に基礎知識をeラーニングで学習してもらうことで、実務でのOJT指導にかかる負担の軽減にもつながります。
また、LMSの進捗・成績管理機能を活用すれば、従業員ごとの理解度や学習傾向を把握できるため、現場の実態に即した教育方針の策定や教育内容の選定が可能です。
コンプライアンス・法定研修の履修管理
LMSは、情報セキュリティ研修やハラスメント防止研修等、全社で一斉に実施する必要があるコンプライアンス教育に適しています。
受講期限を設定して一括配信することで、全国の拠点に対して、一定の基準に沿った教育を実施しやすくなります。未受講者を把握し、リマインド通知や個別フォローを行うことで、受講漏れの防止や受講完了率の向上につなげられます。
代理店・パートナー等の社外向け教育
販売代理店やパートナー企業等の社外関係者にも、オンラインで研修を展開できます。統一した教材を配信することで、企業や拠点による知識レベルのばらつきを抑えやすくなります。
さらに、LMSに蓄積された学習履歴やテスト結果を代理店・パートナーごとに確認すれば、理解度や知識レベルの違いを可視化できます。課題のある代理店を把握して重点的にフォローすることで、社外パートナー全体の知識やサービス品質の平準化にもつながります。
資格取得・専門教育等のオンライン講座
業務に関連する資格の取得支援や、専門スキルを習得するための学習にもLMSを活用できます。サービスによっては、テスト結果や受講状況に応じて次の教材を案内する等、段階的な学習設計にも対応しています。
受講者の習熟度に応じて学習を進められる環境を整えることで、継続的なスキルアップを支援できます。
LMSの主な提供形態
LMSの提供形態には、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。システムの設置場所や運用方法が異なるため、自社のセキュリティ基準や導入目的に合わせて選ぶことが重要です。
ここでは、オンプレミス型LMSとクラウド型LMSの特長を紹介します。
オンプレミス型LMS
オンプレミス型は、自社のサーバー内にLMSを構築する形式です。自社の運用手順や既存システムに合わせた細かいカスタマイズが可能であり、機能の追加や改修を柔軟に行えます。また、自社のセキュリティポリシーに沿って、サーバーやネットワーク、アクセス権限等を細かく設計・管理できます。
一方で、サーバーの調達からシステムの構築、維持管理までを自社で行う必要があり、導入にかかる費用が高額になりやすいというデメリットがあります。ネットワーク障害やシステムトラブルが発生した場合も、自社側で対応できる体制を整える必要があるため、専門知識を持つ人材の確保や外部事業者との連携が求められます。
クラウド型LMS
クラウド型は、サービス提供会社が管理するサーバー上のLMSをインターネット経由で利用する形式です。自社でサーバーを用意する必要がなく、契約後の初期設定を済ませれば運用を開始できます。初期導入費用を抑えやすく、月額や年額等の利用料で導入できる点がメリットです。
サーバーやシステム基盤の保守・アップデートは基本的にサービス提供会社が担うため、自社でインフラを維持管理する負担を抑えられます。ただし、サービス提供会社が提供する機能の範囲内で運用する必要があるため、独自の細かいカスタマイズには限界があります。
LMS導入時に確認したいポイント
自社に適したLMSを選定するためには、以下の点を確認することが大切です。
・導入の目的が明確になっているか
・必要な機能を備えているか
・管理者・受講者が操作しやすいか
・利用人数や運用規模に対応できるか
・セキュリティ対策が十分か
・導入・運用サポートがあるか
それぞれ詳しく解説します。
導入の目的が明確になっているか
まずは「何のためにLMSを導入するのか」という目的を明確にすることが大切です。目的があいまいなまま導入すると、使わない機能を含んだシステムを選んでしまったり、導入後に現場で活用されず放置されたりする原因になります。
解決したい課題や達成したい目標をあらかじめ整理しておけば、自社の運用に必要な機能を見極めたうえで、適切なシステム選定ができるでしょう。
必要な機能を備えているか
自社に合ったLMSを選定するためには、教育目的に合った機能が搭載されているかを確認することが大切です。機能確認を怠ると、導入後に機能不足が判明して追加費用が発生したり、システムで自動化できず手作業でのカバーが必要になって管理負担が増えたりするリスクがあります。
研修を円滑に進めるためにも、受講や管理に必要な機能がそろっているかを確認しておくことが大切です。
管理者・受講者が操作しやすいか
誰でも直感的に扱える操作性は、受講者が迷わず学習を進め、管理者の運用負担を減らすうえで重要なポイントです。使い勝手の悪いシステムを選ぶと、受講者が操作に戸惑って学習が滞ったり、受講者登録や進捗集計に手間がかかったりして継続的な運用が困難になります。
無料トライアルやデモ環境が提供されている場合は、導入前に活用し、受講者が迷わず学習を進められるか、管理者がスムーズに登録や集計を行えるかを確認するとよいでしょう。
利用人数や運用規模に対応できるか
LMS選定時は、自社の受講人数に適した料金体系や定員枠になっているかを確認することが重要です。利用規模に見合わないプランを選ぶと、無駄な月額費用が発生したり定員超過で追加費用がかかったりしてしまいます。
組織拡大による人数増加や全社研修での一斉アクセスが発生する可能性もあるため、将来的な人員増減による負荷に耐えられるかを見極めておくことが大切です。思わぬトラブルを防ぐためにも、料金体系や同時接続の上限数を確認しておきましょう。
セキュリティ対策が十分か
人材育成で活用するLMSでは、社外秘の業務ノウハウや従業員の個人情報を扱うため、セキュリティ対策が強固なシステムを選ぶことが重要です。
セキュリティ対策が不十分なシステムを採用すると、不正アクセスによる情報漏洩を引き起こし、企業の社会的信用の低下につながるリスクがあります。安心して運用するために、通信の暗号化やアクセス制限といった安全管理の仕組みが整っているかを確認しましょう。
導入・運用サポートがあるか
トラブル発生時に備えて、サービス提供企業による導入・運用の支援体制が充実しているかを見極めることが大切です。サポート体制を確認せずに導入すると、初期設定につまずいて運用開始が遅れたり、システム障害や操作トラブルが起きた際に教育を中断せざるを得なくなったりする可能性があります。
教育を計画どおりに進めるためにも、導入時のレクチャーやトラブル時のサポートが充実したサービスを選ぶようにしましょう。
LMSに関するよくある質問
最後に、LMSに関するよくある質問に回答します。
Q:LMSとeラーニングシステムは同じですか?
LMSとeラーニングシステムは、厳密には異なります。eラーニングはデジタル端末とインターネットを活用した「学習形態」を指し、LMSはeラーニングによる学習状況を一元管理するための「システム」を指します。
ただし、サービスや製品の名称では「eラーニングシステム」とLMSがほぼ同じ意味で使われる場合もあります。
Q:LMSにはどのような教材を登録できますか?
LMSには、解説動画をはじめ、PowerPoint等のスライド資料やPDFファイルを教材として登録できます。教材の配信だけでなく、選択式や記述式の理解度テスト、受講後アンケートもシステム上で作成可能です。
Q:LMSは小規模な企業や教育機関でも利用できますか?
LMSには少人数から利用できるサービスもあり、小規模な企業や教育機関でも導入できます。利用人数に応じた料金プランを選べるサービスであれば、組織の規模に合わせて運用コストを調整しやすくなります。また、クラウド型LMSを利用すれば、自社で専用サーバーを構築・管理する必要がないため、初期費用や運用負担を抑えて導入できます。
まとめ
LMS(学習管理システム)を活用すれば、eラーニング受講者の学習進捗やテスト結果を一元管理できるため、個別の進捗確認や理解度チェックの手間を抑えられます。未受講者への受講促進や、理解度に応じたフォローも行いやすくなるため、教育効果の向上につながります。
LMSを導入する際は、自社の教育目的に合った機能の有無や料金体系、セキュリティ・サポート体制を比較検討することが大切です。
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